ビジネス(産業)用途のVRはどう選ぶ?-種類と選び方のポイントを紹介-
2022/08/25
VR ビジネス活用

VRとは、Virtual Realityの略称で、一般的に仮想現実と訳されます。「現実にない世界または体験し難い状況をCGによって仮想空間上に作り出す技術」になります。

VRのコンセプト自体には50年以上の歴史があり、1960年代後半に、米国ユタ大学のIvan Sutherland教授がコンピュータグラフィクスの将来の姿として提案したのがはじまりと言われています。1989年に「Virtual Reality」という言葉が使われるようになり、その後1990年代には世界的なVRブームが訪れました。しかしながら当時は、ユーザーの動きを捉えるセンサーの性能不足や、それに伴い生じる吐き気やめまい(いわゆる「VR酔い」)、製造コストの高さなどを背景として、一般に定着するには至りませんでした。

近年、デバイスの小型化、高速・大容量通信の発達、センサー技術の高度化といった多くの技術革新により、VRに対する期待は再び高まりを見せています。

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ビジネス用途におけるVR活用メリット

VRの最も特徴的な点は、体験者に対し、バーチャル空間への深い「没入感」を与えることである。

弊社では、お客様の工場で発生した労働災害をバーチャルで再現し、現実では体験することが難しい落下、挟まれ、衝突などの労働災害をVRで体験できる「安全VR(LiveXR Proフルカスタム)」というサービスを提供している。

「高所からの落下」というプログラムでは、実際に体験者がバーチャル空間を歩くことで臨場感が増し、高所作業の危険性や安全帯の重要性を再認識することができる。お客様側では、これによって、トレーニングの効率化を図り、人手不足や技術の継承といった課題の解決を図っています。

教育機会の拡大

製造・建設業界では先述した人手不足により、ベテラン従業員が新人教育に充分な時間を割けず、技術の継承が進まない状態が続いています。

 

しかし、VRを活用し、実際の作業環境に近い状態を作り出すことで、時間や場所にとらわれず、何度でも繰り返し訓練ができるため、効率的に教育を進めることができます。

 

例えば、新人の教育にVR専用のヘッドマウントディスプレイを利用し、ディスプレイに作業手順や指示を表示することで、体感的に業務を体験することができます。この方法であれば、手順の間違いや操作ミスがあっても、トラブルにはならないため、何度でもやり直すことが可能です。作業内容はいつでも見直せるため、一度で覚える必要やベテラン従業員が付きっきりになる必要もありません。不慣れな人や言葉が伝わりにくい外国人労働者でも、トレーニングは何度でも繰り返すことができるので安心です。

作業の効率化によるコスト削減

保守保全・メンテナンスの現場では、作業マニュアルや手順を記載した複数の紙媒体を持ち運びながら、技術者が目視で実施する手法が一般的でした。作業マニュアルや手順書も膨大な量であるため、メンテナンス対象となる設備用の紙媒体を探し出すだけでも苦労しているという現場も存在します。

 

VRの導入により、VR上の設備にリンクして、機器の状態・作業手順を表示できるため、資料の準備や確認が効率化出来ます。さらに、複数の資料を持ち運ばなくてよいため、保守保全・メンテナンス業務の効率が上がります。

 

作業箇所や手順を確実に確認できるので、作業ミスが減少し、技術者のレベルも自然に上がっていきます。次に行う作業や、特定の部品に必要な工具、熟練者でなければ知らないような確認のポイントも表示できるため安心です。

 

特に、規模の大きな製造工場では点検項目が多く、それらを目視で確認していたため、ケアレスミスも多く生じているのが実情でした。しかし、VRソリューションを導入し、多くの資料とアナログ作業を排除したことで、点検作業の大幅な効率化と作業ミスの削減を実現している事例が多数あります。

遠隔地での作業指示が可能になる

現在は、ベテラン従業員や上司が作業現場に同行し、作業指示を出す方法が一般的です。

 

マルチプレイ対応のVR/MRソリューションを導入することで、ベテラン従業員や上司が点検現場に行かずとも、遠隔地から都度、的確な指示を出すことが出来ます。

 

具体的には、HoloLens2を利用することで、作業者は映し出された手順を確認しながら作業を進めることができます。同時に遠隔地にいるベテラン従業員や上司は、デバイスに内蔵されたカメラからの作業者目線の映像を手元のタブレットやPC端末のディスプレイで確認することが出来ます。

1人の専門技術者が複数の作業現場に立ち会うことも可能になるため、熟練者が不足している現場でも作業指示が受けられるようになります。トラブル発生時にも遠隔地にいる熟練者と連携しながらいち早く対応できるため、トラブル時に、作業手順がわからなかったということもなくなり、解決に至るまでのスピードと精度が高まります。

 

 

 

VRは「情報の伝え方・受け取り方」がそれ以前とは大きく異なっています。それによって、人とシステムとの関係性に変革をもたらすと考えらます。情報伝達手段として、発信者・受信者、それぞれの視点を踏まえて、VRは、どのようなメリットを有するでしょうか?

 

■情報の発信者の視点

これまで、情報の伝達手段は、文字から画像、そして動画へと発展してきました。しかしながら、それらの手段は、いずれも「体験を要約し、客観的に伝えるもの」です。ミスコミュニケーション(情報伝達不良)は避けがたいものです。

一方、 VRは、人間が生来持つ五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚) を用いることで、限りなく

「体験そのもの」を相手に伝えることができる。このため、相手に伝えられる情報量が格段に増えることとなり、ミスコミュニケーションの解消・軽減が期待されます。

 

■情報の受信者の視点

たとえば、「スマホで取扱説明書を読んで、製品を操作する」という場合において、スマホの画面に目をやり、説明を読み、次に製品の該当箇所を確認し、説明のとおり操作するという動作を、何度も繰り返すことになります。これは、非常に集中力が必要で、頭を使います。このことを、作業の認知的負荷が高い(直感的ではない)と言えます。

一方、VRでは、デジタル情報を対象物対して直に表示するため、頭の中で説明文などの2次元情報を3次元情報に変換するといった、脳内での複雑な認知プロセスが不要です。

そのため、情報を迅速かつ正確に把握し、判断を下さなければならない仕事にとっては、認知的な負荷が少なく、非常に有益です。

 

■双方向コミュニケーションの視点

発信者と受信者の双方のメリットとして、より全方位的なユーザーインターフェースによるユーザー体験が実現できますPCやスマホのUIでは、いずれも画面を介した操作が求められ、その意味で人とシステムの関係性は「対面的」になります。一方、 VR/MRでは、360度ビューとなるため、「人がシステムの中に入り込む」感覚となり、両者の境界が消失します。つまり、人とシステムとの関係性が、「対面的」なものから「包括的」なものへと変化する。このような変化は、UIに新たな展開をもたらし、今後、五感を効果的に用いることで、これまで以上にシステムを直感的に操作できるUIの登場が期待されます。

現在、脳情報を利用することで、脳と機械を直接つなぐ技術であるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)とVR/MRを組み合わせる研究も進められています。こうした技術革新により、VR/MRは手足が不自由な方の生活や社会参加の支援に役立つ可能性も秘めています。

「VR」といってもさまざまな種類が存在

VRには高度・高品質なものから簡易なものまで、さまざまな種類が存在します。一般的にVRソリューションは、参加人数とデータの同期数によって、下表のように分類されます。

VRはHMDで体験することが、その特性を最も感じられるものになります。しかし、活用する場所や用途に応じて、PCモニター、スマホ、タブレットなどでも表示ができます。それぞれのVRを用途に合わせて、適切なデバイスと、ソリューションを選択することが重要です。

VRソリューションの選び方のポイント

それでは、VRソリューションについて種類と選び方のポイントをお伝えします。

ビジネス・産業用途でのVRの活用は、いくつかの分野で徐々に進み始めています。一番進んでいるのが、VRトレーニングや、VR教育の分野です。これに続く利用形態として、VR会議・イベント、VRショッピング、VR旅行などが、期待されています。VRは、完全に視界を覆ったVR装置で閲覧するため、実際の作業を補助することには向いていません。一方で、MRを活用することで、現場の作業支援を実現することができるため、利用範囲が大幅に広がります。

プレミアムアーツでは、用途に応じて3種類のソリューションを提供しています。

先ほどのVRの進化図の中に、ソリューションを配置してみました。

上図のとおり、適材適所でVRソリューションを選択することをおすすめします。

1:LiveXR Pro

            産業向けのメタバース・デジタルツイン(VR・MR)のソリューションです。

          高品質な仮想空間を構築できます。CADやCAEのデータを表示させることに向いています。

            さまざまなライブデータ(IoT)を接続し、事象のモニタリングから、分析や予知を行います。

2:Live360

            Webブラウザで体験できるので、スマホやタブレットでも利用可能。

          実際の現場が存在する場合に非常に有効です。3Dスキャナーで撮影し、空間再現します。

3:LiveXR

            Webブラウザで体験できる、VR会議・イベントの仕組みです。

            バーチャルイベントをすぐに実現できます。

 

 

これらを踏まえ、利用局面に応じたVRソリューションの使い分けを推奨します。

ビジネス・産業分野に有効なVR導入を

ここまででご紹介したようにVRは、特に製造・建設業界などの保守保全・メンテナンス分野において、教育機会の拡大や作業効率化によるコスト削減、遠隔地での作業指示などで大きな効果を発揮します。

 

各VRの特性を把握し、効果的なVR導入を実現していきましょう。当社プレミアムアーツでは、長年VRソリューションの導入をサポートしてきました。本記事でも紹介したVRソリューションの選び方や導入の流れに加え、費用イメージと最適なVRソリューションを紹介している「VRソリューション導入サポートガイド」という資料を無料で提供しています。ぜひ、VRの活用を検討している方はダウンロードしてご活用ください。

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